10の提言は、 小学生の 全国調査から 生まれた
日本整形外科学会と運動器の10年・日本協会は、全日本野球協会の協力を得て、2014・2015年度に全国の小学生野球選手を調査しました。2015年度の調査には、軟式・硬式を合わせて412チーム、選手8,354人、指導者376人が回答しています。
その結果をもとに、2016年に『長く野球を楽しむための10の提言』が示されました。小学生の野球を対象にした当時の調査と提言であり、現在の大会規則そのものではありません。
提言の球数は、 試合だけではない
10の提言では、試合と練習を含む全力投球について、1日50球以内、1週間200球以内とする考え方が示されています。大会で投手が投げた球数だけを指すものではありません。
一方、大会の球数制限は、試合で投手が投げた球数について定めた競技上のルールです。同じ『球数』でも、数えている投球と目的が異なります。
10の提言:試合・練習を含む全力投球 1日50球以内/1週間200球以内
現在の 試合ルールは、 別に確認する
全日本軟式野球連盟の規定では、試合での投球数に次の上限が設けられています。球数制限は大会や競技区分、学年によって異なるため、参加する大会の最新要項も確認しましょう。
| 区分 | 1日 | 1週間 |
|---|---|---|
| 学童部(5・6年生) | 70球以内 | 210球以内 |
| 学童部(4年生以下) | 60球以内 | 180球以内 |
| 少年部(中学生) | 100球以内 | 350球以内 |
ほかの競技団体や大会では、球数制限が異なる場合があります。指導者は、参加する大会の最新要項を確認しましょう。
10の提言が 見ていること
『長く野球を楽しむための10の提言』は、球数だけでなく、練習時間や休む期間など、活動全体について10項目を示しています。以下は、原文の10項目を当サイトが短く言い換えたものです。原文の詳しい表現は、ページ下部の参考資料で確認できます。
- 試合と練習を合わせた全力投球数を把握する
- 小学生の練習は、週3日以内、1日3時間以内を目安にする
- 練習の前後に、準備と整理の時間を十分にとる
- 痛みやひじの動かしにくさなど、身体の変化を定期的に確認する
- 一人の選手に投球の負担が集中しないようにする
- 痛みがあるときは無理を続けず、必要に応じて医療機関へ相談する
- 自主練や自宅でのトレーニングが過重にならないようにする
- 全力投球をしない期間を、少なくとも3か月設ける
- 一人の選手が出場する試合数は、年間70試合以内を目安にする
- 指導者と保護者が連携し、整形外科専門医による定期的な検診の仕組みを考える
数字は、 安心を保証する 線ではない
10の提言は2014・2015年度の調査をもとにした資料です。現在の大会規則とは分けて読み、参加する大会の最新ルールを確認しましょう。
どの数字も、『ここまでなら必ず大丈夫』という線ではありません。上限以内でも、ひじの痛みや動かしにくさがあるときは、投げるのをいったんやめてもらいましょう。
指導者は試合の球数を記録し、登板の順番や交代を計画します。練習や自主練での投球も選手・保護者と共有し、一人に負担が集中しないよう、複数の投手で試合を組み立てられる準備を進めましょう。
痛みや動かしにくさがあるときは投げ続けず、保護者や指導者に伝えてください。
参考にした資料
この記事は、公的機関・競技団体・学会・査読論文の情報をもとに作成しています。
- 01『平成27年度少年野球(軟式・硬式)実態調査 調査報告/長く野球を楽しむための10の提言』全日本野球協会・日本整形外科学会・運動器の10年・日本協会
2014・2015年度に行われた小学生野球の全国調査と、2016年に示された10の提言
- 02『2026年導入 学童部における一週間に係る投球数制限』公益財団法人 全日本軟式野球連盟
2026年シーズンからの学童部における1日・1週間の投球数制限
- 03『中学校部活動 軟式野球 指導の手引き』公益財団法人 全日本軟式野球連盟
少年部の投球数制限と、制限内でも状態により投げさせない考え方
